Friday, April 16, 2010

トム・ポーター(モホーク族)の話

 早朝起床。外に出たら曇り空に冷たい風。6時祈り。朝食後、20人のウォーカー皆でこのモホーク族コミュニティ責任者トムさん を囲み、話を聞く。この土地は彼のひいおばあさんの物であった。彼らが強制的に居留地 に移住させられた時、我々は必ず戻る、と言った通りに戻った。以下、トムの話。

「我々は西欧人の食生活を取り入れて以来、それが好きになりましたが、糖尿病にかかる者が多くなり、私自 身もそうですし、妻も今、視力の低下に悩むまでとなりました。しかし、伝統的なトウモロコシをベースとした食事に転 換したところ、かなり血糖値が低くなり、妻も手術を受けられるレベルとりました。

 私が子供の頃は、居留区には電気などの文明は届いておらず、夜寝る時はマキを節約するために、私はおば あさんに寄り添って暖をとっていました。
4才となった時のことです。朝目覚めた時に陽が窓から入り、おば あさんが「これが、創造主の指であり、腕なんだよ。創造主はこうして私たちや納屋の牛 や、木や草を、子供を愛するように包み込むんだよ。そして母なる大地をお前はただ<ニヤンウェ>ありが とうと言うのです。私達を生かしてくれる偉大な慈悲と愛に。我々は教会や王様や女王は要らない、と。

 先住民は、この世界一豊かな国で、真実と幻想を見分けられなくなってしまいました。老いた者は疲れ果 て、若者はルーツに戻ることを忘れてしまいました。しかし、全ての教えの元は、殺すなということであり、我々は
100年、200年かかろうと本来の教えに戻ろうとしています。今朝貴方がたが 祈っている姿に、私はただ泣いたり見せつけたりするより大切なものを感じました。ミュ ニティの女性達は、昨夜、偉大なスピリットが降りてきたと言い、子供たちも明るい目覚めをしました。

 そして貴方がたの中に、長年無実の罪で刑務所に入れられている先住民
Russel Meansが、彼の自伝 White Men Fear to Treadの中で数ページ渡って書いた日本人僧 侶、森下さんがこの中に居ることを嬉しく思います。彼はRussel Meansがブラックヒル国立公園の中に、キリスト教教会はそのまわりに2エーカーの土地を 与えられるのだから、先住民の教会であるティピとスウェットロッジのまわりにも2エーカー与えられるべきだと、そこを占拠した時、森下さんは彼らが当時持っていた一番良い住居、ト レーラーを与えられて住んだのです。

 ある朝、
Russel Meansは、いつものように夜警の当番を終え て、あたりを散歩していました。そしてキッチンで、森下さんが床にこぼれた米と豆を拾っているのを見まし た。それは、彼がその日生きるのに必要最小限の食料でした。その姿を数日見続け た後、彼は仲間に「この食料は皆創造主によって与えられたものだから、敬い大切にしようではないか」と 言ったのです。森下さんは毎朝近くの山頂に登り、太鼓を叩いて祈っていました。その音と彼の姿を見て、先 住民たちもその時に祈るようにもなったのです。

 今私は、敵のために働いています。我々のリーダーがそうするように言ったからです。刑務所でキリスト教 も、ユダヤ教も、安息日に祈りをささげられますが、先住民は宗教を持つ事を禁止されていました。しかし、
2000年に我々は権利を得、私は刑務所で先住民の祈りと、伝統的な食事を伝えてい ます。

 また、毎年
6月の最後の週に、ここで伝統的な儀式や伝統的な物語を伝える祭り をします。また、夏には2週間に渡って、モホーク語の学習会を開きます。シックス・ネイ ション(六部族連合)の中でも、モホーク族は最も部族語を日常的にも使っており、3000人が言葉を話せます。シックス・ネイションの他の部族、オノンタガやセネカ の言葉も似ている方言ですので、彼らもこの学習会に参加すると話せるようになります。

 今、私達はこのあたりに多く住む、現代文明を拒否して農業に従事するアーメッシュの人々のようになろう としています。彼らは常に忙しくしているので、精神が病む余裕もありません。ここにも来て色々と教えてく れます」。

(澤村)

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